研究ストーリー
もし今、君たちがユニフォームを作るなら、受け継がれた伝統か、もしくは憧れのプロチームに合わせるか。
XFは、チームウェアに革命を起こす。これからのチームウェアは、色、デザイン、着心地、すべてにおいて自分たちらしさを表現すべきだ。そして今ここに、宣言する。「好みで選ぶな。戦術で選べ。」
きっと、XFで、君たちのチームは強くなる。
日本体育大学 体育学部 准教授 博士(体育科学)
専門分野 メンタルトレーニング
髙井秀明 氏
PROFILE
スポーツ心理学をもとに、プロスポーツ選手、オリンピック選手など、多くの心理サポートを行うとともに、スポーツ心理学の研究者として、日本のスポーツ分野に貢献する研究者。日本オリンピック委員会の強化スタッフにも選ばれている。
- 所属
- 日本体育大学体育学部体育学科
スポーツ心理学研究室 - 所属学会
- 日本体育学会、日本心理学会、日本スポーツ心理学会ほか多数
- スタッフ
- (財)日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)ほか多数
- 研究
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- リラクセーションに関する生理心理学的研究
- 感情制御方略が認知的評価および生理反応に及ぼす影響
- ストレスに伴う情報処理過程に関する研究
- メンタルトレーニングの効果検証に関する実践研究
- 海外日本人プロサッカー選手・指導者の異文化適応過程に関する質的研究
XF×日本体育大学 髙井秀明 博士 INTERVIEW
スポーツ心理学の第一人者と共同研究。着目したのは、「色」という心理的効果。
「チームウェアに新しい価値を持たせたい。例えば色彩。心理学の見地から新しい可能性を見出せないか。」これは私がXFと関わることになったきっかけの言葉です。色彩という視点からチームウェアに新しい概念を持たせることで、今までになかったチーム作りができるのではないかという着目点に、私もすぐに、研究する価値があると感じました。
まずチームウェアを選ぶときは、色彩は重要な選択条件です。そして、選ぶ選手や指導者は、ファンやサポーターの視点で、憧れのチームウェアにしたいという思いがあります。あとは選手や指導者が好みで選ぶことが多いかと思います。
しかしそれだけでしょうか。実はスポーツにおいて、色彩の研究は多くはありません。だからこそ色彩の心理的視点を、チームウェアに反映できる可能性があります。
調査01
アスリート1064名の取得データから、色の可能性・影響を研究。
まず行ったのが、大学生(体育専攻学生)1064名(男性555名、女性509名、平均年齢20.28歳)へのアンケート調査です。スポーツ場面で相手の着用している服の色などが私たちの印象を形成している可能性があります。さらに、スポーツ場面で、相手が着用する服の色に対する印象評価には、好みや性別が影響していると予想されます。以上のことから、男女差で服の色に対する印象について「SD法」を利用し、明らかにすることにしました。
調査方法
体育専攻の大学生 1064人に対してWEBアンケート調査を実施
- 12種類の色 赤、青、黄、緑、橙、紫、濃灰、薄灰、蛍光ピンク、蛍光橙、蛍光黄、蛍光緑 に対する印象
- 5つの形容詞対語 明るい-暗い、積極的な-消極的な、強い-弱い、はげしい-おだやか、派手な-地味な
結果と考察
- 男女により、色の印象評価に偏りがあることがわかった。特に女性は、色に対して「明るい・積極的な、強い」と捉えており、色の影響を受けやすい傾向があることが明らかになった。
- スポーツ場面で着用したい服の色の偏りについて、男性は無彩色、女性は暖色を好むことが明らかとなった。
色彩別の男女印象 結果
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【赤の印象評価】
- 男性は女性よりも弱い、おだやかな、地味なと評価する
- 女性は男性よりも強い、はげしい、派手なと評価する
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【紫の印象評価】
- 男性は女性よりも明るい、おだやかなと評価する
- 女性は男性よりも暗い、はげしいと評価する
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【青の印象評価】
- 男性は女性よりも明るい、おだやかなと評価する
- 女性は男性よりも暗い、はげしいと評価する
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【濃灰の印象評価】
- 男性は女性よりも明るい、積極的な、強い、派手なと評価する
- 女性は男性よりも暗い、消極的な、弱い、地味なと評価する
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【黄の印象評価】
- 男性は女性よりも暗い、消極的な、弱い、地味なと評価する
- 女性は男性よりも明るい、積極的な、強い、派手なと評価する
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【薄灰の印象評価】
- 男性は女性よりも積極的な、強い、はげしい、派手なと評価する
- 女性は男性よりも消極的な、弱い、おだやかな、地味なと評価する
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【緑の印象評価】
- 男性は女性よりも弱い、地味なと評価する
- 女性は男性よりも強い、派手なと評価する
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【全ての蛍光の印象評価】
- 男性は女性よりも暗い、消極的な、弱い、おだやかな、地味なと評価する
- 女性は男性よりも明るい、積極的な、強い、はげしい、派手なと評価する
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【橙の印象評価】
- 男性は女性よりも暗い、消極的な、弱い、はげしいと評価する
- 女性は男性よりも明るい、積極的な、強い、おだやかなと評価する
研究結果を踏まえ、男性は濃灰、薄灰などに対して、女性は赤、黄、橙、蛍光などに対して「明るい、積極的な、強い」といった印象を受けていることがわかりました。以上のことから、性別により、着用する服の色は心理的影響をもたらすとともに、色には人の心理を動かす効果があることが示されました。
調査02
フットボール選手510名のデータで、
ゲームウェア作りに革命を。これからは「戦術色」で選ぶ。
競技スポーツにおける選手と対峙する場面では、「自分たちが自分たちをどのように捉えるのか。そして相手に自分たちをどのように捉えさせたいのか」は勝敗を左右する重要なファクターとなります。それはフットボールでも同じ。強いチームほど自分たちのスタイルや目標は明確です。
色がスポーツの心理にも影響することはこれまでの研究から見えてきました。その結果を踏まえ、今度はフットボールに限定。自分たちのプレイスタイル、目指した戦術で、色彩を分けられるのか、半年間にわたりフットボール選手510名(平均年齢18.14歳)にアンケート調査を実施しました。
調査方法
大学生、高校生のフットボール選手510名に対してWEBおよび
現地アンケート調査を実施。
- 12種類の色 赤、青、黄、緑、橙、紫、濃灰、薄灰、蛍光ピンク、蛍光橙、蛍光黄、蛍光緑 に対する印象
- 戦術に関わる特性対語 カウンター-ポゼッション、攻撃的-守備的、パワフル-テクニシャン、個人プレー-チームプレー、興奮-冷静
結果と考察
- 暖色、蛍光色は、寒色、無彩色、中間色よりも「カウンター、攻撃的、パワフル、個人プレー、興奮」を印象づけた。
- 寒色は「ポゼッション、守備的、テクニシャン、チームプレー、冷静」を印象づけた。
以上の研究結果を踏まえ、ゲームウェアの色彩は、チームの戦術の印象評価に影響があると言えます。つまり、自分たちの戦術を心理的効果によって共有したり、将来、どのようなチームになりたいか、戦術的な観点からチームウェアを選ぶという、新しいチームウェア作りができます。